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映画「PERFECT DAYS」を観て...

「Perfect Days」という映画を観てきました。ドイツ人の監督ヴィム・ヴェンダースが小津安二郎を敬愛し影響を受けていることなどからも興味をそそられ、久しぶりに封切り映画館へ。


実は人生の「メイン」は単調な日常にある。その細部に心の揺らぎやある種の美が潜んでいることにフォーカスした構成。同じような日々のなかの僅かな変化や喜びを役所広司(公衆トイレ清掃員役)が演じている。セリフが少なく行間を読ませるアート的な要素も多く、個人的には素晴らしい映画だと思った。(封切りから2ヶ月以上経ったのに館内は満席)

主人公の過去はあえて詳しく説明せず、公衆トイレの清掃員としての仕事や生活での真面目なルーティーン、メランコリーそしてささやかな幸福感が観ていて感動する。よくありがちな製作側の押し付けがましさや小賢しさが感じられないからか。

また、主人公が聴いている音楽はその年代における相当ツウなものであり、家の中で読んでいる本からは教養や品を感じさせられる。一体何者なんだ?と感じ始める観客に対して明快な説明はなく、観る側のその答えを任せている。この映画の内容の深さを生み出している一因だ。

監督の思いを受け取り租借するにはある程度の映画鑑賞リテラシーが必要な作品かもしれません(または2回観にいくとか)。ご興味のある方はもうしばらく公開されていると思いますので鑑賞されてはいかがでしょうか。人間的な営為を見つめて映像化していた小津イズムがあるこの映画から、主人公と自分自身を重ね合わせ、ふっと小さく微笑みうことができたり、改めて「働く」や「生活する」意味合いのヒントも得られるかもです。


今、シニアと呼ばれる年齢になり、仕事も変わり「なんで自分がこんな仕事を?」「毎日が退屈だ」「年収が半分以下になってしまった」「計画や希望と程遠い」と感じている人は少なくない。たとえそうであっても毎日のシンプルな出来事に幸福を感じたいと思いませんか?いずれにしてもシニアが観てほっこりした気分にもなれる、そんな映画でした。



予告動画 (YouTube)


「Perfect days」編集動画YouTube(music: Pale Blue Eyes)



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